茅ヶ崎海沿いのあったかパン屋さん「cuni-pan くにぱん」

「茅ヶ崎ってどんなまち?」

そう問われた茅ヶ崎市民の多くが、「人と人との距離が近いまち」「人との温かいつながりがあるまち」と答えるでしょう。
茅ヶ崎市には、そんな人とのつながりによって支えられている、地域に根ざしたお店がたくさんあります。

今回はその中のひとつ、海の近くにあるパン屋さん「cuni-pan(くにぱん)」を紹介します。

ザ・湘南の夏を感じさせてくれるパン屋さん

湘南の海を臨む国道1号線から、住宅地に向かって歩くこと2分。一見するとお店などなさそうな住宅地の路地を進むと、民家の軒先に揺れる「くにぱん」の文字が見えてきます。

海風にはためく小さなのれんに誘われて近づくと、風鈴の涼しげな音とほのかな蚊取り線香の香りが漂ってきました。
海・風鈴・蚊取り線香のトリオが、「ザ・湘南の夏」を感じさせてくれます。

純和風の趣深い自宅の軒先での営業は、毎週土曜日と日曜日。普段は写真右側の移動販売用の車で販売しているそうですが、夏の暑い日や冬の寒さが厳しい時期は玄関の中で営業しているそうです。

柔らかいタッチの「open」の文字と、かわいいお店のマークが営業中の目印です。

月曜日、火曜日、木曜日は市役所の前や商業施設などにおもむく移動販売をしており、この場所での営業は土曜日と日曜日のみ。

10時に開店して売り切れ次第終了とのことなのでこの日は早めに行きましたが、開店して間もない時間帯にも関わらずお店の前には入店待ちのお客さんが並んでいました。ソーシャルディスタンスを守った、一組ずつの入店です。

(※夏の間は移動販売をお休みしているので、自宅販売のみとなっています。詳細は公式インスタグラムに掲載されています)

「こんにちは」「また来ちゃいました」と声をかけながら入店し、店主と穏やかな会話をしながら買い物をするお客さんが多いので、リピーターばかりかと思いきや、海水浴のついでにふらっと訪れるお客さんもいるのだとか。「海に来て、ふらっと歩いていたら見つけた」という人が、海で食べる昼食にと買っていくそうです。

民家の軒先でやっているようなお店は、どこか一見さんにはハードルが高いイメージですが、cuni-panは違います。

初めて訪れるお店なのに、つい「こんにちは」と入店してしまう雰囲気。仲のいいご近所さんのお宅にふらっと足を運ぶような感覚で、リラックスして買い物を楽しむことができます。

元保育士の店主がつくる優しさあふれるパン

2021年1月に開店したcuni-panを営むのは、元保育士の店主。保育士をしていた頃からパン作りが好きで、趣味として長く続けていたそう。

保育士をする中でアレルギーを持つ子どもが多いことに気づき、安心して食べられる、からだに優しいものを届けたいという思いからこのパン屋を始めたそうです。

20種類近い商品のポップ全てに、小さくアレルギー物質の表記があります。
「国産小麦」「無添加」「地産地消」にこだわったパンの材料は、直接農家さんへ買い付けに行くこともあるとか。定番の味だけでなく、旬の野菜に合わせたパンを試作し、店頭に並べることもあるそうです。

一体どうやって農家さんと知り合ったのかたずねると、「イベントで知り合ったり、保育士時代の知り合いに紹介してもらったり」とのこと。

人脈を活かそうという意図はなかったけれど、結果として、保育士として仕事をしていた頃のネットワークが活かされているそう。

人と人のつながりが強く、温かなまち・茅ヶ崎だからこそできるのだと、店主は微笑んでいました。

取材中、お母さんに連れられて「枝豆パンある?」と幼稚園生くらいの男の子がやってきました。どうやら海遊びの帰りに、写真中央の枝豆スティックを求めて来店したようです。

うれしそうにパンの袋を持って店を後にする男の子を見送り、店主にたずねてみると「去年も販売していて、また作ってほしいと手紙をもらったんです。それで、今はちょうど枝豆の旬なので、今年も販売することにしました」とのこと。地域に根ざしたパン屋さんだからこその、お客さんとの温かな交流を垣間見た気がします。

こだわりの材料だからできる、素材の味が生きたパン

種類豊富なラインナップにどれを買うか迷った結果、3種類のパンを購入させていただきました。

左下:しらす塩パン
右下:カルダモンロール
上:枝豆スティック

人気のしらす塩パンは、ふわふわの生地の中に湘南名物のしらすが包まれています。てっきり中にぎっしりしらすが詰まっているのかと思い、しらすの生臭さが苦手な私は身構えましたが、しらすはちょうどいい量でした。

しらすの塩気と磯の香り、小麦のほのかな甘味と豊かな香りがかじりついた時に絶妙なバランスで合わさり、互いを引き立てています。昨今、具がぎっしりと詰まったパンが人気ですが、このパンはこれで完璧な黄金比を作り出しています。

生地はむっちりした歯応えでありながら、ふんわり軽く口の中で溶けるようで、いくらで食べられてしまいそうでした。

店主がカルダモン好きだから作ったというおすすめのカルダモンロールは、しっとりとした生地にカルダモンの爽やかな香りが優しく香って、口に入れた瞬間に夏を感じました。

砂糖の甘味に始まり、噛んでいくうちに小麦の柔らかい甘みが出てくるのは、こだわりの国産小麦を使っているからでしょうか。

取材中に絶対食べたいと心に決めていた枝豆スティックは、想像のはるか上を駆け抜けるおいしさでした。かじりついた瞬間口いっぱいに広がる小麦の香ばしい風味と、ほのかな塩気。歯切れのいい生地を噛んでいると、枝豆の香りが立ってきます。

旬の素材を使っているからこその、濃い枝豆の味を楽しめます。cuni-panでは地産地消、旬の食材にこだわっているとのことでしたので、他の旬の野菜を使ったパンを楽しみです。

cuni-panは「旅するパン屋さん」へ

誕生から1年半のcuni-pan。今後の展望について店主にたずねると、「旅するパン屋を目指していきたい」と話してくれました。

「固定店舗をもっていないので、身軽にやっていきたい。移動できる利点を最大限に活かし、いろいろな場所におもむき、活動していきたい」

今回は夏の晴天の下で、「ザ・湘南の夏」を感じさせてくれたcuni-pan。旬の食材を活かしたパンは、冬にはきっと「ザ・湘南の冬」を感じさせてくれることでしょう。湘南では湘南の、他の土地ではきっとその土地の素材を活かした、色とりどりのパンが誕生するかもしれません。

毎月の営業予定は公式インスタグラムに載っていますので、ぜひみなさんも訪れてみてください。

cuni-pan くにぱん
住所:神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-10-41
アクセス:東海道本線「茅ヶ崎駅」南口から徒歩19分、神奈川中央交通 バス停「市営プール前」から徒歩2分
店舗営業:土曜日、日曜日 10:00-売り切れ次第終了
移動販売:月曜日、火曜日、木曜日 10:00-13:00
インスタグラム:@cuni_pan

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渡邊なる
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生まれも育ちも茅ヶ崎市。長く住んでいるからこそわかる、魅力的な街角の風景をご紹介します。