温かな灯りが宵を照らす。夏の風物詩「鎌倉ぼんぼり祭り」

鎌倉の夏。観光地ではあるものの暑さのためか、ふだんはにぎわう小町通りでも、この季節は主に若者が反対の由比ガ浜方面に人は流れていきます。

今年もコロナの影響で由比ガ浜の海水浴場は開設されませんでしたが、それでも涼を求めて海の方へ人の姿が目立ちます。

そんな夏休み、お盆の近くに鶴丘八幡宮で催されるのが「鎌倉ぼんぼり祭り」です。期間は毎年だいたい3日間。いつもとは雰囲気の違う鎌倉の夜のお祭りを紹介します。

いつもとは違う鶴丘八幡宮

鶴丘八幡宮の境内に入ってから源氏池、平家池をすぎれば参道へ。お正月や祝日には屋台も並ぶ場所ですが、このぼんぼり祭りの期間はこの参道に沿ってさまざまなぼんぼりが飾られます。

今年2021年は8月6日~8月9日の4日間の開催でしたが、このぼんぼりと献華以外は中止となったそう。コロナ禍の影響ですね。

それでも夕方、まだ辺りが明るいうちから灯りがともされ、だんだん夕暮れが迫ってくると何とも言えない夏の祭りの華やかさがただよいます。

ぼんぼりの数は全部で400。そのぼんぼりの中に、鎌倉の著名人や有名人、そして芸能人の描かれたぼんぼりがあるので、1つ1つを眺めながら歩くのがお楽しみとなっています。

有名人に著名人。個性豊かなぼんぼり

今年のぼんぼりにラグビーで活躍された五郎丸歩さんのぼんぼりを発見。
きれいな字で「感謝」と書かれています。

今年引退された五郎丸さんのこの言葉にいろいろな想いを感じてしまいますね。

また、ワールドカップでキャプテンとして仲間を引っ張っているリーチ・マイケルさんのぼんぼりも。

こちらも日本語で書かれたぼんぼりですが、「苦あれば楽あり」と今の状況を励ますように感じられます。

その他、中村獅童さんのものも。この字はどんな意味なのかわからなかったので調べたところ、門がまえに由で「ふぐり」と読むそうで、その意味までは検索できませんでした。こうやって考えながら見るのも楽しいですね。

ちなみにこちらは2016年の時のもの。「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明さんの描かれた「エヴァ新2号機」、いや、「2号オキ」のぼんぼりもありました。

1938年から始まった「ぼんぼり祭り」

「鎌倉ぼんぼり祭り」が始まったのは今から83年前の1938年、昭和13年のこと。第二次世界大戦がはじまる前の年のことです。

そのきっかけとなったのが、やはり夏の海の行楽客。由比ガ浜へ向かう人々に文学的な鎌倉を楽しんでもらおうとはじめたと言われています。

また、このぼんぼりは源頼朝の次男であり、三代将軍の実朝の誕生日にちなんで始まったそう。実朝の誕生日は8月9日。実朝は追放された長男・頼家の息子によってこの八幡宮で暗殺されたそうです。

実朝さんも今こうして自分の誕生日に多くの人が訪れてくれることを慰めとしてよろこんでくれているかもしれませんね。

開催期間が3~4日間と短いうえに、神奈川の海には日帰りで来る人も多いので、コロナ禍でなくても花火大会のような混み方はしませんが、今年はより穏やかな様子でした。

来年はどのような状況で開催されるかわかりませんが機会があればぜひ体験してみて下さいね。

鎌倉ぼんぼり祭り(鶴岡八幡宮)
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1−31
アクセス:JR横須賀線、江ノ電鎌倉駅から約徒歩11分
電話:0467-22-0315
2021年開催日時:8月6日~8月9日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。