北鎌倉から鎌倉へ向かう県道21号線。横浜鎌倉線と言われる道には飲食店を中心に古民家を活かしたお店も多く、歩いていて楽しいエリアです。
また、鎌倉五山の円覚寺、建長寺、浄智寺と名所も揃った歴史好きにも興味深いところ。昔ながらの鎌倉が残っています。
その道を鎌倉方面に向かって進み、ビーフシチューで有名な「去来庵」を超え、神奈川県指定銘菓の1つ鎌倉どら焼のお店「三日月堂花仙」のそばにある信号を渡り、目をやると坂の奥が木々で暗がりのある道が現れます。
一歩踏み入れると歴史を感じる小道が登場
入り口には看板も。
映画『鎌倉ものがたり』の時に建てられたもので昔はなかったような気がします。
ここが、鎌倉七口の1つ「亀ヶ谷坂切通し」です。切通しは山などを削ってつくった人工の道のことで、海と山に囲まれ難攻不落の場所として鎌倉幕府が開かれることとなったこの土地の特徴でもあります。
大きいものだと攻められると大勢が来て困るので、その道は細く鎌倉にはこの「亀ヶ谷坂切通し」の他に6ヶ所あります。
散歩に便利な亀ヶ谷坂切通し
「亀ヶ谷坂切通し」ですが、北鎌倉から鎌倉へ向かう時に便利な道だったりします。
というのは、この先が狭くて車は通り抜けができません。
散歩で車に気をつけなくていいのは結構気楽。年配の人やお子様を連れて散歩にもうれしいですよね。
坂を進むと、「通り抜け禁止」の看板と共にこんな車止めも。
ちょうどこの先の道がカーブになっていて見えず、また暗く、いきなり過去へタイムスリップしたような気持ちになります。
人によってはまるでジブリ作品の中に入り込んだような気持ちになるかもしれません。
また、もう1つのおススメの理由としてはこの道が山を削られた道なので、木々で強い日差しを遮り夏でもだいぶ涼しいです。
昔は急な坂で、亀がひっくり返ったので名付けられたとされる亀ヶ谷坂ですが、今は亀がひっくり返るほどの急坂ではないのでご安心を。
道自体はそんなに長くはなく車止めから少し行けば一番高い場所となり、その後は下り坂となります。
この坂を下りきったところにあるのが岩船地蔵堂。ここは源頼朝の娘・大姫縁の場所です。人質だった木曾義仲の嫡男・義高の許嫁だった大姫ですが、この婚約の時の年齢はわずか6歳。
また、義高は10歳で、その翌年父の木曾義仲が戦に負け亡くなり、危機が迫った時、幼い大姫は救おうとしましたが息子の義高も討たれて亡くなったといわれています。
きっと大姫と義高は仲が良かったのでしょうね。その後そのショックから病気になり、大姫も20歳で亡くなったと言われ、その大姫の守り本尊を祀ってあるのが岩船地蔵堂です。
歴史を感じる散歩も楽しいですよね。
実は紫陽花も穴場のおススメの場所
この「亀ヶ谷坂切通し」ですが、もう1つ楽しみがあります。
それは梅雨の頃、紫陽花の季節。鎌倉には紫陽花で有名な場所がいくつかありますが、シーズンともなると、大変な混雑で入場制限もあったりします。
住宅街でも紫陽花はたくさん植えられているので、わざわざ出かけてみなくても、という人も多いかなと思いますが、青や赤、紫、白と場所によって違う色を咲かせる紫陽花はやっぱり魅力的。
この「亀ヶ谷切通しにも」紫陽花が植えられていてとてもきれいです。涼しいせいか、若干、満開が遅めな気もします。
意外と人通りの少ない道で紫陽花を眺める贅沢!おススメですよ。
亀ヶ谷坂切通し
・神奈川県鎌倉市扇ヶ谷3
・JR横須賀線北鎌倉駅より約徒歩20分