館内に音楽の音色が響く国登録有形文化財「八幡山の洋館」

茅ヶ崎駅からバスで15分のお隣平塚市の中ほどにある洋館では、音楽のコンサートがよく開かれています。茅ヶ崎市の人でも利用可能で、ピアノの発表会などで利用され親しまれています。今回は、八幡山の洋館にお邪魔して建物の歴史についてお話を伺いました。

明治に建てられた公園に佇む洋館

洋館が建てられたのは明治の終わり。日本海軍とイギリスの会社との合弁会社「日本火薬製造株式会社」を設立。イギリス人技術者の宿舎や食堂、ホールとして洋館が建てられたとのことです。

火災で一度焼失しましたが、再建され現在に至ります。第二次世界大戦の空襲では、市街地の多くは被害を受けましたが洋館だけは残りました。話によると、この建物が価値のあるものであると米軍が判断して遺したともいわれているそうです。

そして、平塚市が譲り受け、建物を解体して現在の場所である八幡山公園に再建しました。外観は淡いグリーンとピンクと白のかわいらしい建物ですが、建てられた当初はグリーンと白のみであったと推察されます。アメリカの支配のもとピンクが加わったとされているのです。

多くの資料が失われ、数少ない資料をもとに、洋館が再建されているということに、市民の洋館を大切に思う気持ちが伝わってきます。

今では珍しい建築様式で造られている

館内には2つの会議室と応接室があります。大きい第一会議室には日本では珍しい正八角形のベイウィンドウ(出窓)がついていました。

再建されるとき、あまりにも珍しい造りなので扱える職人がおらずとても苦労したといわれています。やっとのことで探しだし、扱える宮大工によって建てられたとのことです。

窓の造りはとても珍しく「上げ下げ窓」といわれる、鉄パイプと滑車とロープで開閉する仕組みです。

そして、ベランダはコロニアルスタイルと呼ばれる様式で趣のあるスペースです。建てられた当初のイギリス人技術者がここでくつろいでいた話を伺い、当時の様子を思い起こすことができ、少しの間タイムスリップしたような感覚を覚えました。

音楽家にも地元の人にも愛されている洋館

館内には会議室が2つと応接室、展示室と厨房があります。会議室と厨房は開放されていて、一般の人も利用可能です。第一会議室には、グランドピアノが置かれ、日々演奏会や練習室として使われています。

画像の第二会議室は、かわいらしいシャンデリアのあるお部屋で、さまざまな目的で利用されています。

そして、応接室は意匠価値が高く、アーチ型の窓枠や暖炉がありました。また、昭和天皇が泊まられた際のカーテンが掛けられていることも印象的です。

八幡山の洋館は、会議室の他に廊下の天井や壁が特殊な造りとなっています。天井板と壁板一枚一枚が反っており、丸みのある天井と壁を作っています。そのため、音響効果がよくピアノや楽器の音色がよく響き、音楽家たちに愛されているとのことです。

平塚市にありますが、茅ヶ崎の方も利用もできます。音楽発表会で茅ヶ崎の方も利用する人が多いとのことです。

八幡山の洋館は茅ヶ崎駅からバスで行くことができます。会議室を利用しなくても館内を散策できるので、かわいらしい洋館に興味を持たれたかたはぜひ足を運んでみてはどうでしょう。

八幡山の洋館
場所:神奈川県平塚市浅間町1-1
アクセス:JR東海道線平塚駅より徒歩10分
電話:0463-35-7114
開館時間:9:00~21:30
休館日:毎週月曜日(休日に当たるときは、その日に最も近い休日でない日)12月29日~1月3日
入館料:無料

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。