一年の息災を祈るお正月行事「鎌倉大町 八雲神社」の初神楽

みなさんはお正月をどのように過ごされましたか。

お正月の過ごし方はライフスタイルに応じていろいろですが、地域の行事に参加する、というのも古い歴史のある街に住む楽しみの一つかもしれません。

鎌倉は歴史が古い上、神社やお寺が多いだけに、お正月には町内のあちこちで古い祭りや新年の行事があります。

1月中旬までの神社の行事カレンダー:
1月1日~3日 初詣 各寺社
1月4日 手斧始式 鶴岡八幡宮
1月5日 除魔神事 鶴岡八幡宮
1月6日 初神楽 八雲神社
1月15日 左義長 鶴岡八幡宮

今回は、そんな鎌倉の小さなお正月行事の一つ、八雲神社 初神楽をご紹介します。

八雲神社の御神楽

鎌倉大町にある八雲神社では毎年1月6日に神主が湯花神楽を舞い、地域の氏子と訪れた人々の厄払いと平和、繁栄を祈念する、という新年の行事があります。

湯花神楽は別名「鎌倉神楽」「湯立神楽」とも呼ばれ、鎌倉のあちこちの神社でおこなわれる行事だそうです。

釜で湯をたき、そのお湯に笹を浸し、吉兆を占い、その笹をはらいます。笹についた湯のしずくを浴びると「その一年健康に過ごせる」のだそうです。

八雲神社はひっそりと小さな神社ですが、「厄除けの力」があると古い言い伝えのある、鎌倉で最古の厄除け神社です。

その昔、この土地に流行していた疫病を祓うために源義光が京都の祇園社に祈り、この地に八雲の神様に来てもらったところ疫病がおさまったのだとか。

ちなみに、八雲神社で有名なのは秋に開催される「大町祭り」。こちらは神輿も出るにぎやかな祭りですが、新年の御神楽はひっそり、地元の関係者と知っている人だけが集まる行事です。

八雲神社へのアクセス

鎌倉大町にある八雲神社へは、鎌倉駅東口を出て海岸方面に若宮大通りを歩き、下馬の交差点を左折、逗子方面に向って歩きます。

そのまま道なりをずっと進んでいくと「八雲神社」の看板が見えてきます。

看板の角を左折し、少し進むと「八雲神社」が見えてきます。

榊・笹に滴る清めの湯のしずくで一年の無病息災を祈る

1月6日の15時から約1時間ほどかけて、新年の行事、湯花神楽が八雲神社の境内でおこなわれます。

境内ではすでに釜で湯が沸かされ、初神楽の準備が整っています。

15分前ぐらいになると、地元の人が集まり始め、小さな人だかりの輪が境内にできます。

関係者が神社の建物に入り、お正月の神事である湯花神楽が始まります。

境内には、さまざまな切り紙が飾られた天蓋のようなものが建てられています。切り紙の一つ一つに意味があるそう。

建物内で神主による神事の舞が奉納されます。

鈴を使った舞、大麻(はたきのようなもの)を使った舞、弓矢を使った舞などが執りおこなわれます。

神主が外に用意された釜の湯を清めます。

いよいよクライマックスです。神主が榊・笹を手にやってきました。

釜の湯に笹を浸し、湯をかき混ぜた後に、周囲の人に湯の雫がかかるよう笹を振り払います。

みんなが頭をさげ、神主がぶんっと笹を一振りすると、「わー!」「かかった!」「お湯、かかった?」とあちこちで声が上がります。

笹の湯のしずくでお祓いと健康を祈願した後には、お楽しみタイムが待っています。

「お菓子」と「みかん」が神主から振る舞われます!
神主が「お菓子」と「みかん」を台の上からまくのですが、それを手にすると福があるそう。

見事、空飛ぶ「お菓子(飴)」と「みかん」をキャッチ!

境内の切り紙、みかん、お菓子を手に、みな一年の健康を祈りながら家に帰ります。

昔の村ではよくある新年の光景に触れて、心もほっこり。
どうかこの一年、みな息災でありますように。

帰りにちょっと寄り道、お隣の「ぼたもち寺」

さて、八雲神社で厄除け、今年一年の健康を祈願した後、帰り道にお隣の「常永寺」をのぞいて見ました。本当に小さなお寺ですが、面白い由来があるのだとか。

「常永寺」の通称は「ぼたもち寺」、こちらも厄除けに由来があるお寺。

日蓮が鎌倉で処刑されそうになった際に、ここに住んでいた老婆からぼたもちをもらい、その後、奇跡的に処刑を免れたことがこの寺の由来だそう。

9月12日には厄除けの「首つなぎぼたもち」が振るまわれるのだとか。

鎌倉の街を歩く時によくよく見ると、あちらこちらにこうした小さな歴史話があることに気が付きます。

歴史の跡を探しながら街を歩く、鎌倉ならではの楽しみですね。たまに、家族でこうした行事を楽しんでみるのもいかがでしょうか。

「八雲神社」
住所:神奈川県鎌倉市大町1丁目11-22
アクセス:JR横須賀線「鎌倉駅」から徒歩約8分
拝観時間:8:30~16:30
定休日:なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。