鎌倉の土地は、海・山といった自然だけでなく、奥深い歴史も魅力のひとつです。
「お寺や神社は周囲と違った空気感が漂っている気がする」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、鎌倉駅から少しはなれた住宅地にある「大宝寺」をご紹介します。
佐竹屋敷跡と呼ばれる大宝寺の境内
大宝寺は、鎌倉駅から徒歩15分ほどの大町に位置しています。
このあたり一帯は佐竹屋敷跡といわれ、後三年の役後、新羅三郎義光(源義光)がこの地に館をかまえ、子孫である佐竹氏が居住していたようです。
境内の様子
お散歩がてら、ふらりと訪れたのは午前8時。
背面の青空とこんもりとした緑がすがすがしい朝でした。
さっそく境内に足を踏みいれると、左手に古い井戸があります。
朝なのにちょっと怖い……なんて思うのは私だけでしょうか。
白い鳥居と背面の青い空のコントラストがまぶしい「多福神社」。
後三年の役の戦勝は日頃から信仰していた多福大明神の加護によるものだとし、新羅三郎義光(源義光)によって建てられたといわれています。
多福神社はいったん大町の八雲神社に合祀となったのち、妙法寺の日証上人によって戻されました。
思ったよりもコスモスが伸びているけれど、秋らしくていい感じ。
鎌倉は自然が多いのでこまめに手入れをしていないと、どんどん雑草におおい尽くされてしまうんです。
本堂には日蓮上人坐像・日出上人・源義光の像・出世大黒天、そして子どもの守り神でもある子育て鬼子母神の像があります。
鎌倉には「子育て鬼子母神」が祀られているお寺や神社が多いイメージです。
町全体で子どもを大切に守ってくれているようで安心感があります。
気持ちの問題かもしれませんが……
本堂の左右に置かれた天水盤には、「五本骨扇に月丸」と呼ばれる家紋があります。
佐竹氏の家紋の所以は、本堂の裏にある佐竹山の形が扇に似ているからだそうです。
多福神社と本堂の間に置かれているのは慰霊塔のようです。
お正月にはお餅がふるまわれることも
観光客も少ない奥大町に佇む、のどかな雰囲気で落ち着ける大宝寺。
コロナ禍でここ1〜2年は開催されていませんが、お正月には境内でつきたてのお餅を近隣住民にふるまってくださるイベントもありました。
境内に置かれた滑り台から、小さな子どもを思いやる気持ちが伝わってきます。
大宝寺(だいほうじ)
住所:神奈川県鎌倉市大町3-6-12
アクセス:JR横須賀線「鎌倉駅」から徒歩15分
JR湘南新宿ライン「鎌倉駅」から徒歩15分
江ノ電「鎌倉駅」から徒歩15分